以前、「コミュニティスペースが作りたい!」という投稿をしました。
ここでは「3年後」なんて書いていたのですが、その後急展開があったので、今日はそのご報告です。
タイトルの通り、補助金を申請した一連の経緯について書きました。
自分の記録として、そしてもしかしたら誰かの役に立つことがあるかもしれない、と細かく書いたことで非常に長くなってしまったのですが、ご興味あれば流し読みしてください。
きっかけは一枚のチラシ
6月12日、商工会からお知らせが届きました。商工会からは不定期に、セミナーやイベントのお知らせ、会員さんからのチラシなどが届きます。いつもは残念ながらほとんどの内容物が古紙入れへ直行なのですが、その日は1枚のチラシが目に止まりました。
「京都府子育てにやさしい職場環境づくり サービス創造補助金のご案内」というチラシです。
チラシ表面下部の「補助対象となる事業」、事業例として書かれた【子連れコワーキングスペース】という文字がパッと目に飛び込んできました。
コミュニティスペースを作ることを考えたとき、補助金のことももちろん考慮には入れていましたが、補助金の情報って実はかなり探しにくい…。ポータルサイトみたいなものもあるのですが、全てを網羅しているわけではありません。
なので、こんな補助金があることも全く知らなくて、突然飛び込んできた情報でした。
申請期間を見ると、6月30日まで。2週間余りしかありません。
4月末から受け付けている補助金のチラシをどうして今頃送ってくるのー?と思いながら、とりあえず週明けに商工会へ問い合わせてみることにしました。
ゼロからのチャレンジ
月曜日の朝イチに電話をして、午前中は予定があったので、午後から商工会へ。担当者の方とお話ししたところ、チラシがあったので送っただけで詳細はよく知らない、とのこと…。それでも、丁寧に対応してくださり、京都府の担当者へも確認します、とおっしゃってくださいました。
翌日、さっそく連絡があり、京都府の担当の方が事前に申請書も見てくださるとのことで、一度連絡してみてください、と言われました。
が、その時点ではまだ、私の意識は月初から始まった起業スクールの課題の方にあり、申請書類も詳細まで確認できていない状態。
木曜日にやっと書類を確認したものの、これまでほぼ妄想でしかなかったものを突然具体的なものにしていかなければいけない、という事実を前に、「何から手をつければいいの?」としばし茫然。
Facebookでも泣いてました(笑)。
この補助金は昨年度から始まったそうで、おそらく来年度もあるだろう、とのことだったので、一瞬、「来年度の申請でもいいんじゃない?」とも考えました。あまりにも時間がなさすぎる、準備が何もできてない、と。
でも、ここでたくさんの応援メッセージをいただき、そして何より、私のこの夢の原点である、ホットミルク@北九州の福永ちささんが、「私の作った申請書送りましょうか?」と言ってくださって、本当に送ってくださったのです。
ちささんのは小規模事業者持続化補助金のものだったのですが、実際に申請されて通った申請書そのものを見せてくださったので、どんな風に書けばいいのかがよくわかりましたし、何より
これは絶対作り上げないと!!
という気持ちになりました。
申請書の内容
申請書には、
- 申請者概要
- 事業計画書
- 収支予算書
- 口座振替依頼書
が含まれています。このうち、事業計画書と収支予算書が肝となるところです。
事業計画書
事業計画書は、文章がメイン。項目としては以下のものがありました。
- 事業の目的及び経営理念等
- 事業の概要・コンセプト
- 市場環境と提供するサービスの特徴
- 販売・提供価格
- マーケティング戦略・サービス提供方法
- 事業上の問題点・リスク
- 組織・人員計画
- 協力者・支援者
- 事業スケジュール
- 3カ年の売上・利益等の計画
10なんて、かなり具体的にちゃんと考えないと書けません。(どれもそうですが…)
各項目を埋めていく中で、ふわふわとした理想でしかなかったコミュニティスペースのイメージが、事業として具体的な輪郭を帯びてきました。
収支予算書
収支予算書は、ただ補助金申請のための経費を書くだけでなく、補助対象外の経費も併せて記載し、それに対してどのような内容の収入(資金)を予定しているか、ということまで書かなくてはいけません。
しかも、経費はざっくりしたものではなく、具体的な商品やサービスを提示する必要があり、各支出に対する見積書(または価格が提示されているもの)をつける必要がありました。
つまり、それまで物件を探すことさえしていなかった私ですが、物件の当たりをつけ、そこでやるなら何が必要かを全てリストアップし、個数と価格を明示しなければいけなくなったのです。
物件や備品が具体的になると、実現したい!という気持ちがより強くなりました
物件探しと備品の選定
物件は納得いくまで探す!
ということで、とにかくまずは物件探し。不動産屋さんに足を運んでいる暇もないので、ネットで検索しました。不動産会社によって、重複して掲載されている物件もあればそうじゃないものもあるので、とにかくいろんなサイトで検索をかける、ということを徹底しました。
場所は京田辺市内。家賃は、ウン十万もするととてもじゃないけど払えないので、なるべく安めで。できれば自宅から近いところがいいなぁと思っていましたが、松井山手周辺はどこもべらぼうに高く、大住だと安いけれどスペースが小さかったりとても古い建物だったり。
また、今回の補助金は府内企業に対して提供する事業である必要がある、つまりコワーキングスペースとしては、例えば京都市内の企業に勤めている会社員ママがテレワークの場所として利用する、といった想定が必要なので、利用者は京田辺市民に限らず近隣の市からの利用もあると想定し、京都市内へ出る際に利用される近鉄沿線がいいのかな、と考えました。
そうやってある程度の目星をつけた中で、駅前で1階が小児科の2階という、これ以上ないくらいの物件を見つけたのですが、10万を軽く超える家賃もさることながら、保証金が家賃6ヶ月分。礼金や保証金は補助対象外なので、全額自己資金は厳しい。でも、他の候補はどれもエレベーターがなかったり場所がちょっと不便だったりと決め手に欠けたので、かなり悩みました。
そんな中、商工会に連絡してから1週間後、やっと府の担当者に連絡してみました。締め切りまであと10日という日。
早めに申請書を送れば添削もしてくださる、という話の中で、物件のこともチラッと話したところ、「実行性や継続性も審査基準になるので、小さく始めて大きくしていく、と考えた方がいいですよ」というアドバイスをいただき、小児科2階の物件はやはり諦めることに。
そうして更に、別のサイトでも色々と検索をしたところ、これと思うような新しい物件を発見し、候補を2つに絞りました。
両方とも、駅は異なりますが駅前で、片方は8坪ほど、もう一つは13坪ほど。小さく始めて…という言葉が残っていたので、小さくて家賃も安い方にしようかと思いながら、小さい方だとレンタルスペースは難しそうで、広い方だとそのスペースも取れそう。どちらとも決めきれず、備品探しに移りました。
備品はとりあえずでもOK
コワーキングスペースにするためには、デスクとチェアがまず必須です。
では、どんな大きさがいいのか?
今どき、本当になんでもググれば出てきます(笑)。試しに「コワーキングスペース デスクサイズ」で検索して、参考になったのがこのサイトでした。
在宅勤務のデスクの選び方とは?使い方に応じたおすすめデスク9選 | Garage Fun! ガラージワークスタイルマガジン | 仕事場インテリア・オフィス家具の通販ショップGarage(ガラージ)
ノートパソコンの持ち込みなので、基本的には奥行き60cmあればOK。幅は100cmでもいいけど120cmあった方が余裕がありそう、と目処が立ちました。
では、いくつくらい入るのか?
部屋の広さがピンとこないので、Photoshopを使っておおよその広さを確認してみました。
デスクの目処が立てば、チェアの数も決まります。
あとは、不動産情報の写真を見た感じ、コンセントの数を増やした方が良さそう、だとか、ベビーベッドとおむつ替え台は置きたい、プリンタもあった方がいいかな、など、写真と間取り図を見ながらイメージを膨らませていきました。
多少の値段の修正は効くので、備品に関してはあまり時間をかけずに決めていきました。例えばプリンターなど、グレードを決めればメーカー違いでも似たような値段なので、とりあえずこれくらい、で決定。
あまり高額なものばかりにすると、収支予算書の収入の部分をどうする?という問題もあるので帳尻合わせが大変ですが、そこそこの値段のものを選んでおいて、あとでもっと安いものを探す、ということはできそうなので(そして補助金の支給額を後から上げるのは難しくても下げるのは問題ないと思うので)、そうやってパッパと選んで行きました。
どちらかと言うと、リストに入れていなかったものを後から追加することはできないので、漏れがないようにリストを作る、ということの方が大切だと思います。
ただ、全てにおいて見積書を取るか、取れずにネットで相場を調べた程度ならその記載がある箇所を印刷する、ネット販売の商品なら商品と価格がわかる部分を印刷する、という必要があったので、地味にこれが大変でした。笑
エクセル無しには作れない
収支予算書には、単価いくらの何が何個必要で合計いくら、ということを書かなければいけないのですが、消費税は補助の対象外なので、この総額表示の時代に、税抜価格を確認して記載しなければいけません。
しかも、消費税分は自己負担(補助対象外経費)として、それも明記する必要あり。
締め切り2日前に収支予算書を送って確認してもらったところ、消費税についての指摘を受け(!)、慌てて修正しました。
また、事業計画書の「3カ年の売上・利益等の計画」も
- 売上高
- 売上原価
- 売上総利益
- 販売管理費
- 営業利益
そしてそれらの積算根拠まで明記しないといけなくて、売り上げの見込みを何度も計算しながら確認しました。
これら全て、エクセル(私はMacなのでnumbers使ってましたが)で計算式を入れた表を作っておいたので、都度、内容を追加修正しながら、申請書の方へも変更を反映できましたが、それをやってなかったら死んでいる…もとい、申請書の提出はできなかったと思います。
また、売上等の計算をする中で、前出のホットミルクさんにもオープン後の状況などを聞いたところ、コワーキングよりレンタルスペースの利用が多いことなどを教えてもらい、やはり小さなスペースでコワーキング一本に絞るより、広い方の物件でレンタルスペースや委託販売スペースなども設ける方が、可能性としては広がりがあると考え、広い方の物件で計画することに決めました。
事業計画の添付資料
潜在顧客の推定数
話が前後しますが、事業計画を書くにあたって、多少の数的根拠があった方がいいだろうと考え、国勢調査などの調査結果を利用しました。本当は、きちんとした市場調査などをしてその結果を添付できれば一番いいのでしょうが、その時間はなかったので、自分でできる範囲で調べることにしました。
想定利用者として、京田辺市在住の25歳〜50歳の働く女性、とし、その数を推定。京田辺市内で働く女性と、京都府内(市外)で働く女性がそれぞれ約2,000人ずついると推測できる情報を提出しました。そこからどれくらいの利用者が見込めるか、まで示すことができればより良かったのかもしれませんが、そこまではできず、でも何もないよりは「調べている」という姿勢だけでも見せられれば、と思い、根拠資料を提出しました。
想定カリキュラムとレイアウトイメージ
レンタルスペースを含めた場所づくりと方向性を決め、そこでママ向けの講座やワークショップ等も行う予定、と書いた事業計画書を担当の方に見ていただいたところ、レイアウトイメージや講座等の想定カリキュラムもあれば、より具体的で説得力のある内容の計画になる、とアドバイスいただいたので、そちらも添付しました。
想定カリキュラムは、ママ向け講座、ママ向け&親子向けワークショップ、起業準備・スキルアップ研修、の3つに分け、以前に私が主催したママ向けの講座やワークショップには「過去に開催実績あり」と明記。
また、レイアウトイメージについては、Photoshopを使って必要備品数の計算をしていたものが役に立ちました。
時系列での2週間
商工会からチラシが届いた。
申請可能なことを確認してもらい、府の担当者と繋いでもらう。
とりあえず、申請者概要など書けそうなところから手をつけ始めた。
この時点ではまだ物件も決まってなかった。
文章部分については添削の必要がほとんどない、と言われてエンジンがかかった。
午前は保育園の役員会。午後は子ども放置で予算書作成。物件が空いているのか不動産屋に確認。
スケジュールの合間を縫って、宇治まで車で片道30分。
京都市内まで行ったけれど、まだ書類が出来上がっていなかったのでこの日は持ち込めず…
当日朝まで書類を作り、なんとか持参。受領いただきました。
提出までのバタバタ
30日(水)が提出締切日で、前日はずっと前から予約してあった、プロフィール写真の撮影日。月曜日はオンラインサポートの予定や写真撮影のためのネイルの予約があり、更には納税証明書の取得もしなければいけないということで、非常にバタバタしました。
府税の証明書なのに市税と当日朝まで勘違いしてました!
申請は郵送での提出でも大丈夫だったのですが、ギリギリまで時間が欲しかったので、直接持っていくことにしていました。正味1週間ほどで全ての書類を仕上げたと言えるかもしれません。
提出日の当日も、備品リストに漏れがあったとこに気づき、少額のものではあったのですが、気付いたからには入れておこう、とまた書類の数字を変更。全ての書類が2部ずつ必要なので、40ページほど×2を印刷して、整理して、やっと出発。
しかも、うっかりしていて、その日の午後にオンラインサポートの自動予約が入ってしまい、それまでに帰宅しないといけない、となると本当に時間ギリギリ。府庁について、担当課へ行くのに迷った時にはどうしようかと思いました(笑)。
その場で確認していただいたところ、やっぱり(笑)数字の間違いがまだあったのですが、「完璧な状態で提出する方いませんから、後ほど修正版を送っていただければ大丈夫ですよ」と優しく言っていただけてホッと一安心。
なんとか無事、提出することができました!
まとめ
結果は運任せ
今回の補助金は、結果が出るのが8月に入ってから。当たり前ですが予算があり、持ち込んだ時点ですでに予算総額以上の申請が来ているとのことだったので、実際に補助金が貰えるかどうかはわかりません。専門家の方が、申請書を元に点数を付け、その点の高い事業から採用となる、とのことでした。
担当の方には、申請書の内容に問題はないけれど、私は個人事業主なので、法人に比べると事業の継続性などで点が劣る可能性がある、ということも言われました。ここはもう、どう評価されてどういう結果が出るかを待つしかありません。
どういう結果であっても、またちゃんとお知らせしたいと思います。
事業計画を立てるということ
ただ、今回挑戦したことは、私にとってものすごく価値のあることでした。私は個人事業主になって3年が経ちますが、元手のかからないWebの仕事はもちろん、ヨガ講師を始めたときでさえ、事業計画といったものを立てたことがありませんでした。
「できる範囲」で始め、お金のかからないSNSのみで集客し、サービス提供に掛かる費用を上回る価格をつければ、赤字になることはありません。チラシを作ったり、勉強会に参加したりしても、家計や貯蓄から出せる範囲。最初に投資する金額が少ないので、回収するための計画がなくても、なんとなくでやっていても、それなりに回っていく。お金にあまり執着がなく、目標を立てるのが苦手な私は、まさにそんな調子でした。
目標や計画って、何を指針にして立てればいいのか難しい。難しいのでやらずに過ごしてきましたが、今回は提出しなければいけないので、無理矢理にでも数字を入れてみる。入れてみることで、やるべきことがハッキリ見えてくる。それを身を持って感じました。
当たり前のことだし、よく言われていることなので知識としては知っていましたが、例えばアクセス数や集客数を目標値として決めたとして、その目標を達成できなくても何かにすごく困るということもなかったので、目標にコミットする、ということはありませんでした。
でも、今回の事業の場合、自己資金を使ったり融資を受けたりしないといけないくらいの初期費用が掛かるので、コミットしていかないと社会的信用を失うことにも繋がります。目標値も勝手な自己判断で掲げたものではありますが、それがあるのと無いのとで全然心構えが違う、ということに気づきました。
この経験をできたことが、補助金より何より大切なことだったように思います。
いつでも投げ銭大歓迎♬